津田先輩を想いのままに見上げた杏奈の頬はピンク色に染まる。
学校という魔界からようやく解放されたみたいに、光の速さで出ていくクラスメイト達を無言で見送ったあと、寂しげな教室には二人きりだった。
学級委員のわたしと常磐君にはまだ教室の清掃が残されていたからだ。
重苦しい沈黙の中で黙々と手を動かしたせいかすぐ完了して、掃除道具を片付けた。
何か、声をかけるべきだとは思う……。
昨日、わたしをわざわざ心配して来てくれた常磐君を、あんな形で下駄箱に一人置いてきぼりにしたんだから。
「ねぇ。気にしてないよ?昨日のことなら」



