こんなことを言いたいんじゃないのに。 視界の隅でゆらゆらとタオルが舞い落ちていった直後。 ーーードンッ! 玄関のドアを背にしたわたしの頭の横に、乱暴に手をついた七瀬先輩の表情が視界いっぱいに迫った。 「オレがお前しか見てないってことに、いい加減気づけよ」 絞り出すような声でそう囁いた……。 脳髄にまで染み渡る甘い声色に心を射抜かれた錯覚さえ起こしてしまう。 「……っ嘘。そんな、デタラメ」 「嘘じゃねぇよ」 悩ましげな表情にわたしは揺さぶられる。