「オレん家だけど、なんか文句ある?」


「……っ、七瀬先輩、の?」



嘘でしょ……?


そう思わずにはいられなかった理由がある。



「お前が驚いてんのって、“ここ”がオレん家だからか?」



無意識に表情が雲っていたのかもしれない。


だってこのマンションのーー七瀬先輩の家の隣は、あの悪夢を引き起こした月極め駐車場だったから。


ドクドクとうるさい鼓動がさらに加速を増して、体温が急降下するように芯から冷えたみたいだ。