「離してください……っ、連れて帰るって、どこ行くんですか!?」 どこまで強引で身勝手なんですか……? そう言いたかったけれど不意に浮かんだのは。 ーーー“どうもこうもねぇよ。コイツが心配だから来ただけだ。他に理由がいる?” びしょ濡れになった七瀬先輩の後ろ姿を見ていたらとてもそんなこと言えない。 「雨、止みそうにねぇな」 灰色の空を睨んでそう言うと、くるりとわたしの方へ振り返った。