「常磐君……っ、わたし達は、別に」 「なぁ、常磐?お前に一つ教えてやるよ」 反論に出遅れたわたしを阻止するみたいに七瀬先輩が無理矢理に遮った。 背筋をひんやりと駆け巡るほどの重く低い声で。 「そういうガキくさいこと言ってるから、秋帆が振り向かねぇんだよ?」 まるでそんな嘘はお見通しだとばかりに、口角を上げ、挑戦的にそう言い放った。 想いが溢れる人の名前を突かれた常磐君は、図上の遥か遠くに浮かぶ雨雲が舞い降りたような表情で沈黙したままで。