「七瀬先輩だよ?」



そして桜色の唇から出た名前にわたしの細胞は必然的に反応した。



「……あたし、八重のこと聞かれたの。大丈夫なのかって。保健室まですごい勢いで走ってきて、血相変えて。冷たいほどにクールなあの七瀬先輩が、あんなに取り乱すなんて。あんな七瀬先輩きっと誰も見たことないよ」


「……っ」



いつもの可愛らしい雰囲気はどこにもなく、真剣味の帯びた声は、わたしの心に真っ直ぐぶつかってくる。