「か、勝ったの……!」 「かったの?何を……?」 「もーっ、違うよ!津田先輩、引退試合に勝ったのっ!」 これ以上ないってくらい満面の笑みを見せる。 息を切らして大袈裟なほどの身振り手振りで嬉しさを伝えてくる。 そういえば今日は、津田先輩の引退試合の応援に行ってたんだっけ? 「すごいっ、おめでとう……。さすが、津田先輩だね?」 子供みたいにぴょんぴょん飛び上がる杏奈を見ていたら、強張った頬が自然と緩んだ。