「だからここまで来たんだ。竹川、全然気づかねぇから。明日の試合、見に来いよ」


「でも……」



手を掴まれたままの杏奈は頬を桜色に染め上げて、津田先輩を想う声を震わす。



「いつも遠いんだから、最後の試合くらい近くに来いよ。嫌か?」


「嫌なんか……っ、じゃないです」



ふるふる首を横に振って全力で否定する。


臆病な杏奈の秘めた想い。


だけどそんな隠してきた想いは津田先輩の前では丸裸なわけで。