だけど、距離を縮める津田先輩の日に焼けた腕が杏奈へと延びる。 「聞こえないって言ってるだろ?」 パシッ……と杏奈の細い腕を掴むと津田先輩は自分の方へと優しく引き寄せた。 「きゃっ……」 手を取られて短い悲鳴をあげる杏奈は耳まで真っ赤だ。 「竹川、いつも遠いんだよ。だからお前の声も聞こえないだろ?」 「っ、え……?遠いって、あのっ……」 「見間違えじゃないなら朝、竹川はオレより早くここにいるだろ?」 「……っ」 怖そうな印象を持つ切れ長の瞳が迷うことなく杏奈を見ている。