「明日、津田先輩の引退試合があるの」 「えっ……明日に?」 どうやら杏奈が心配していた突き指の怪我もすっかり治ったらしく、明日な引退試合を控えるという。 「勝つといいなぁ……」 「勝つとって、もちろん見に行くんでしょ……?」 「行きたいけど、行かないよ……」 なんで……?とわたしが聞こうとした。 聞こうとしたけれどそれよりも早く、杏奈に聞いたのは……。 「なんでだよ?」 わたしではない低くて息のあがった声が杏奈へと投げかけられた。