「中学の時に好きになった人がバスケ部の人だったんだけどね?」 「バスケ部の……?」 「うん。あっ、別にバスケ部の男子が特別好きなわけじゃないからね?」 エヘヘッ……と、無理に笑って明るく振る舞おうとする杏奈の表情が曇る。 「片想いだったの。相手もあたしなんかに興味ないのわかってた。だから、告白するつもりもなかったし、そばで見てるだけでよかったんだぁ……」 わたし達しかいない教室を夏風が包み込んで、目線を落とす杏奈の声がやけに乾いていた。