唯一知るわたしの秘密の行方だって七瀬先輩だけが握ってる。



気がかりだったけど投げ出したのはわたし。



それに校内のどこかで七瀬先輩と会ってるなんて、みんなに見つかる心配もしなくていい。



秘密の共有だってもうなんの効力もない。



七瀬先輩の放つ言葉に翻弄されることも、いちいち反応する自分も、掻き乱すドキドキの正体とか胸の高鳴りも、不器用な優しさも。



本当は、どう受け止めたらいいかわからなくて。



「……杏奈、帰ろっか?」



そうやって逃げ出したわたしは全てシャットダウンして、窓際の特等席を離れようとしない杏奈に声をかけた。