最初から夏休みまでの期間限定だった。


わたしが保健室で夏目先生と七瀬先輩の深い関係を知ってしまったことがきっかけだったけど、それも、もう全ておしまいだ。



あと三日で夏休みがやってくる。


 
あんな……雲みたいに掴めない謎目いた悪魔から逃れられるんだから、よかったんだ。



「また眉間に皺!怖い顔してる、八重」


「えっ?ごめんっ……」



放課後の教室で頬杖をついていたわたしの目の前に、桜色のリップがのった唇を尖らせた杏奈がいた。



あの一件から常磐君とも委員会のことで必要最低限しか話さなくなって、蒸せ返すほどの暑さにやられて体調を崩したって保健室へも行かなくなった。



そして美しい悪魔は、変わらず女の子の視線を独占していた。