「わたしは、七瀬先輩とは、別に。ほんとに、何も……」 「何もない、なんて言わせないよ?」 遮った声にビクッと鼓動が波打った。 まるで、わたしと七瀬先輩のことを知っているように思える。 「もしかしてあの時のことと関係あるの?」 「あの時……?」 「去年の夏。和藤さん、あそこで泣いてたよね?」 「……っ」 常磐君は一年前のことを覚えている。 あの、夏空の悪夢が降りかかった日のこと。 動けずにいたわたしに常磐君は静かに距離を詰めて来る。