甘美な悲鳴をあげそうになったのを堪える。 耳がじんわりと熱を帯びてたまらなくなる。 そうやって何の意図かもわからないことをして翻弄させないでください……。 立ち止まって振り返ったけれど七瀬先輩の姿はもうなかった。 シトラスの残り香が鼻を撫でて、触れられた手が、頬が熱くて、この場に溶けてしまいそうだった。 気づかないフリをしてきてるだけで、わたしはこの感情の名前をきっと知ってるから。 ーーー“目を奪われる人っているんだよ” 杏奈の言葉が脳内で木霊する。