【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて




杏奈の零れ落ちそうな大きな瞳がわたしへ向けられる。


白い頬が次第に薄紅色に染まっていく。



「……好きだよ。苦しいくらい」


「じゃあなんで、恋が実らないなんて。そんな悲しいこと言ったの?」



わたしが熱中症で倒れる寸前に聞き取れた杏奈の言葉が、聞き間違えでないのならその理由は。


わたしなんかが聞いても嫌じゃないかって何度か迷ってタイミングを探していた。



「ご……ごめんね。聞くべきじゃなかったよね」



決して興味本意で聞いたわけじゃなくって。


ましてや杏奈の恋の手助けなんてわたしには出来ないけれど。


せめて、杏奈の桜色みたいな想いが津田先輩に伝わったらいいのにって願わずにはいられなかったから。