「うん。いつもは眠そうなんだけどね、バスケのことになると闘志を燃やすタイプで」
「……そうなんだ?津田先輩ってちょっと怖そうだけど」
「ふふっ。それね、バスケ部の後輩によく言われてるの。目付きが特に怖いって言われて、パス出す時に怯んじゃうからやめてって」
杏奈の声がいつもの数倍は弾んでいて「生まれつきこの目なんだから仕方ないだろ」と、津田先輩は答えたんだと話してくれた。
「朝早くからグラウンド何周もするんだけど」
杏奈の可愛い笑顔が眩しくて堪らない。
「あっ……見た?津田先輩、またダンク決まったんだよ!やったぁ!」
窓の縁から華奢な身体を乗り出して津田先輩の姿を映している。
それなのに杏奈はどうして……。