「悪魔……」


「あ?」


「悪魔のクセに……」



またそうやって雲みたいに掴めない優しさでわたしを惑わせる。


だからわたしは、精一杯そう強がって、悪態をつくしかなくって……。



「うるせぇよ」


「痛っ……」



わたしのおでこを指で弾いた。


そして、口端を上げた曖昧な笑みを浮かべると、わたしの髪をくしゃくしゃにする。



「無理すんなよ。弱いクセに」


「……っ」



夕陽を浴びた七瀬先輩が意地悪に笑った。