【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて




「そうやって……っ、わたしのこと毎回からかうのも、いい加減にしてくださいっ」



七瀬先輩の手から逃げるように顔を背ける。


もう、嫌だ……誤魔化されてばかり。


からかわれて、肝心なことは、はぐらかされて。



「からかってねぇよ」


「……それに、デタラメなことばっかり」


「は?」


「優しくしたいだけ、なんて。あんな、見え透いた嘘……」



ーーー“優しくしてぇだけなんだよ”



保健室でわたしにそう言った七瀬先輩の不透明な言葉のせいで平常心が保てない。


そんなわたしとは裏腹にポーカーフェイスを崩すことなく、ダークブラウンの隙間から覗く瞳は真っ直ぐで。