しばし葛藤して迷った結果。



「あら、和藤さん。また体調が良くないの?大丈夫?」



保健室のデスクに向かって座っていた夏目先生が振り返り立ち上がる。



「……いえ。少し息苦しくて、それで、ちょっと」


「体温が高いんじゃないかしら。氷枕、あててみましょうか?」



頷きながら保健室の中まで足を進めるわたしに、白衣をひらひらさせて氷枕を持ってきてくれた。


夏目先生の、甘い香りが鼻をくすぐる。



「今ってね、こんな便利なのもあるのよ?ほら」



と、氷枕よりもコンパンクトな首に巻くタイプのアイスノンを当ててくれた。


夏目先生が涼しげな目元を緩ませると、深みのあるルージュが光る。