「ふーん」
独り言のように漏らす七瀬先輩からは、到底秘密を握られた人の顔とは思えないような余裕さえ感じられる。
というか、まさにそれは。
ーーー大胆不敵な笑み。
「いっ、いいんですか?いくらこの学校の人気者だからって教師と節だらな関係になって……」
どっちから誘惑したかなんて言語道断。
むしろどちらからでもと言われても、頷ける二人は文句のつけようがない美貌を放つ。
精一杯の反論材料になる台詞を並べるわたしを、目を細くして見つめてくる。
「だったら」
と。
言いかけて一度は離した手をベッドについて、体重をかけてくるから、鼓動が飛び上がりそうだ。
「な……なんですか……?」
さすがに近いんじゃないんですか……?
七瀬先輩から漂うシトラスの香りが鼻を甘くくすぐるほど距離を詰めてくる。



