「悪魔のクセに、そんなこと言わないでください……」


「なんだよ、それ?」


「だってアナタ、いつも意地悪なクセに……こんなっ、人が弱ってる時だけ」



なんて、ズルい人なの……。


鼻の奥がツーンと熱くなる。

ますます視界が滲んでいくのを見られたくなくて、わたしは可愛くないことばかり言ってしまう。



「しょうがねぇだろ?」


「何がしょうがないんですか……」


「だから、お前に優しくしたいだけなんだよ」



ドキッと音をたてた鼓動が暴れだした。


クシャッとわたしの髪を撫でるように触れた。


どうして、アナタの温度はこんなにも温かく染み渡るんだろう。


悪魔なら、意地悪なら、とことんその意地悪を突き通してくれないと困るじゃないですか。


アナタがそうやって優しいなんて知ったら、


わたしは……。