わたしは死んでも母にはあのことを言えない。
第三者が聞いたら少し身体を触わられただけだと思うかもしれないけれど。
まさか自分の娘が……と知った時。
お母さんが悲しむことはわかりきっているから。
トラウマになるほどのショックや男の人への恐怖を感じることはそこまで強くはなく、時間が経つにつれて落ち着きを取り戻していったけれど。
ーーーただ、妙に冷めた気持ちになった。
真面目で堅いつまらない委員長だとクラスの女子に囁かれていても、わたしだって女の子で、いつか素敵な恋をしてみたいと思っていた。
でもそれは幻想だ。
所詮、夢物語だ……。
夢を諦めたような漠然とした気持ち。
男の子なんて、恋なんて、所詮は夢。
夏空に見放されたわたしは諦めしかなかった。
なにより、夏はまだ少し怖かった。
ーーーわたしだけの、秘密。
誰にも言えるわけがない…………。



