咄嗟に立ち上がった足がもつれる。
『な……なんで、常磐君が……?』
『いや、オレは。その、どうやら、この辺で火事があったみたいだし。それで、オレは……』
懸命に言葉を繋ぎ合わせている常磐君は、動揺しているのかしどろもどろで、なぜかいつもと違って見えた。
『……わたしは、なんでもないから。ほんとに』
『なんでもないなんて……っ、そんな風には見えな……あっ!和藤さん………!?』
常磐君は、きっとわたしに起こったことなど知らないんだ。
同時にあの悪夢を知られなくてよかったと思い、焼けるような暑さの中をわたしは走って逃げた。
怖くて、怖くて、たまらなくて。
汗まみれになって家に着いた。
心臓の音がうるさくて、震えが止まらなくて。
わたしは部屋に入るなりその場で泣き崩れた。



