火事………………?
力ない瞳を見開いて頭上を見上げる。
わたしのいる駐車場を挟むようにしているビルとマンションの窓が次々に開きだした。
『か、火事ですって……つ!?』
『どこだ!?この辺りかっ!?』
次々にベランダに飛び出してきた住人達が慌てて確認するように下を向いている。
『……クソッ!』
わたしの口を塞いだ重い手が瞬時に離された。
深い海から引き上げられたように呼吸が出来て、男は全速力でその場から立ち去った。
わたしはまるで死神に魂を吸いとられたように動けなくて、バカみたいに震える身体も、同時に溢れ出した大粒の涙も止まることがなく。
支配された恐怖から解放されたことにようやく気づいたのは……。
『……えっ?わ、和藤さん?』



