頬がじわじわと熱を帯びていく感覚がする。
「やめてくださ……」
「オレの目、見ろって言ってんだよ」
反射的に七瀬先輩の目を見ると、鼻の頭が触れそうな距離だった。
眉をしかめた表情が切なさに歪んでいて……。
「さ、触らないでくださいっ!」
ちょっと乱暴な言い方だったかもしれない。
自分の大きな声が二人ぼっちの保健室に響いた。
「生意気だな」
今度は、からかうみたいな態度をとる。
バカにされているみたい……とても嫌。
七瀬先輩の手を振り払うように、身体を離してそっぽを向いた。
なんてヤツ……。
とことん嫌いだという気持ちがふつふつと沸き上がってくる。
まるで押し込めた声を爆発させるように言った。



