それは学校から10分ほどのところにあるマンションとビルの間に作られた、月極め駐車場の前だった。
どうしよう、明日から夏休みだし……。
仕方ない、取りに戻らなきゃダメだ。
しぶしぶ踵(きびす)を返した瞬間だった。
ーーーガシッ!
制服のワイシャツを千切れるほど掴まれたのは。
『…………っ!?』
目の前にはわたしよりも背の高い男がいた。
突然のことで驚く暇もなく、その駐車場の入り口にある車と車の間に引きずり込まれた。
『………騒ぐんじゃないぞ』
ドクッ、と身体中が震えた。
掠れた声の主は、薄汚れた作業着に汗臭いタオルを巻いた中年の男。
瞬時にパキパキと音をたてるように全身が凍りついていった。
黄ばんだ便器みたいな歯を見せて笑う男。
何が、起きてるの………?



