【完】七瀬先輩と秘密の恋におちて





ああ……ほんと嫌だな、この人。



顎を少しだけ上に向かせて話す仕草とか、自信しか感じさせない表情も、目が合ったら一瞬も逸らさないで見てくるところとか。


ああ、やだやだ。


何よりその瞳。


時々、悲しげに見えてしまって、胸をなんだかざわざわさせる。

そう感じてしまうわたしの頭は相当やられてるのかもしれない。



「お前、さっきからどこ見てんだよ?」


「どこって……アナタを……、」



一度落とした視線を睨むように向けると。


口角を釣り上げた意地悪としか思えない微笑が目の前にある。



ーーードキッ


不覚にも高鳴る鼓動が、悔しくて。



「ちゃんとこっち見ろって」



胸の不確かな音が速まっていく。


七瀬先輩は、わたしの頬に手を添えて、無理矢理、自分の方向へと向かせる。