ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

 あっさり『信じる』と言われてしまって、逆に面食らったあたしはパチパチと目を瞬かせた。

 坂井君は気まずそうに視線を逸らして、しばらく黙り込んでいたけれど、やがて意を決したようにしゃべり始める。

「そもそも兄貴が角膜を提供したことは、俺と両親しか知らないはずの事実なんだ。それに、お前が俺にしゃべったことも、全部当たってるし。これだけ条件を揃えられたら、信じるしかないだろ?」

「坂井君……」

「正直、なにが起こっているのかわかんなくて混乱しているけど、とにかくお前の目には、俺の兄貴の角膜が移植されているってことなんだよな?」

 そう言ってあたしの目を覗き込む彼の表情は、なんとも表現しがたい複雑な感情に揺れている。

 探していた大切な物が、たしかに目の前にあるということを、なんとか信じてみたい。

 まるで縋るような、そんな願望に満ちた目をしていた。

 突然お兄さんを失って悲しんでいる彼は、兄の角膜が自分の傍にあると信じることによって、傷ついた自分の心を慰めたいのかもしれない。

「夢を見るとか、兄貴に心残りがあるとか言ってたよな? それどういう意味なんだ?」

「あ……う、うん。あのね、移植を受けたその日から、あたしは不思議な夢を頻繁に見るようになったの」