ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

「なに? 小田川さん、係りの仕事にも参加しないつもりなの?」

「お昼休みじゃだめ? それなら手伝えるけど」

「だめ。お昼は委員会の用事があるから。……じゃあ、委員会の方の仕事を代わってくれる? あたしの委員会、朝当番もあるんだけど」

「朝当番は、ちょっと。あたし毎週一回は午後からの登校になるし、ごめんね」

「そっちの仕事もやってくれないの? ああ、そういえば小田川さんって、入学してからまだ一度も委員会とかに参加したことないよね?」

 遠藤さんの顔つきがみるみる歪んでくる。

 斜めに構えてこっちを見ている目は、侮蔑とか、軽蔑といった言葉に相応しい目つきだった。

「小田川さんにも事情があるんだろうけど、みんなだってそれぞれ忙しいんだよ? それでも自分の役割を果たしているのに、小田川さんは係りの仕事も負担しないし、クラスメイトの手伝いもしないんだね」

「まだ手術してひと月だから、ごめんね」

「手術、ね。ほぉんと、タイヘンだねぇ、小田川さん」

 明らかに含みのある口調で、遠藤さんは言い捨てた。

 おそらく遠藤さんは、本気であたしに仕事を手伝ってもらいたいなんて思っていないんだろう。

 あたしが頼まれ事を引き受けられないことをわかっていて、わざと持ちかけてきたんだ。

 その彼女相手に、どんな説明をしても納得するわけがない。最初から納得するつもりなんか、さらさらないんだもの。

 だから、黙って聞き流さなきゃ。なにを言われても『ごめんね』って繰り返していればいい。

 くどくどと繰り言を言う彼女から視線を逸らし、意識的に頭をカラッポにして、あたしは窓の外に広がる家々の屋根の形や、道路を走る車の流れを眺めていた。