そうやって気を張って過ごしているうちに、あっという間に四時間目の授業が終わり、千恵美ちゃんと一緒にお昼ご飯を食べ終えてから、あたしは急いで坂井君のクラスへ向かった。

 四組の開けっ放しのドアの横から、そぉっと中を覗き込んで坂井君を探したけれど、彼の姿は教室内には見当たらない。

 昼休みはみんな色々と忙しくて、実際はそんなに休んでいられないことも多いから、坂井君も今日はなにか用事があって出ているのかもしれない。

 今日は空振りだな。明日の朝に再チャレンジだ。

 そう思いながら教室に戻ろうとして廊下を歩いていると、向こう側からこっちに向かって歩いて来る遠藤さんの姿を見つけてギクッとしてしまった。

 あたしの顔を真っ直ぐ見ながら着々と距離を詰めてくるその様子からして、あたしに何か用があるのは明白だ。

 無表情を装いながらも気迫満点の彼女の目つきは、間違いようもなくこっちに向かってガンを飛ばしていて、楽しい用事でないことも明白。

 途端にあたしの心は、重力に捕まったみたいに一気に重々しくなってしまった。