角膜移植を受けることを、あたしは自分で望んだ。

 こんな状況になるなんて予想もしていなかったけれど、移植を自分で選んだ以上、苦しくても息が切れてもこのつらさは受け入れるしかない。

 もう一度話すんだ。坂井君が納得してくれるまで何度でも話すんだ。

 そう心の中で固く決意するあたしの耳に、予鈴が鳴り響く。

 あたしは閉じていた目を開いて部室の扉を開け、狭くて薄暗い部屋から一歩外へ出た。