「やだもう、言ってよそういうことは! いくらでも協力するから!」
千恵美ちゃんはサブバッグの中に手を突っ込んでゴソゴソ掻き回し、「じゃん!」と言いながら、キーホルダーに付いた一本の鍵を取り出して見せた。
「これ、貸す! 天文部の部室の鍵!」
「天文部? 千恵美ちゃん天文部なの? 星に興味があったんだね」
「ない! 全然!」
「……」
「あたし、幽霊部員だもん。先生に頼まれて名前貸してるだけ。他の部員もほとんど幽霊だし、部室はいつも無人だから」
一年生の千恵美ちゃんが鍵を持ち歩いているくらいなら、たしかに活動も部室も休眠状態なんだろう。
それなら誰にも邪魔されずに、坂井君と話ができる。
あたしはありがたく鍵を受け取ってお礼を言った。
「ありがとう。後でちゃんと返すから」
「それより、後でちゃんと結果を教えてね! うまくいくように祈ってるからね!」
鍵を持ったあたしの手をギュッと両手で包み込み、「パワー!」と叫んで念を込めて、千恵美ちゃんはニコリと笑った。
そしてガッツポーズをキメながら、何度もこっちを振り返りつつ遠ざかっていく。
その姿を手を振りながら見送るあたしの胸は温かさと、申し訳なさでいっぱいになった。
千恵美ちゃんはサブバッグの中に手を突っ込んでゴソゴソ掻き回し、「じゃん!」と言いながら、キーホルダーに付いた一本の鍵を取り出して見せた。
「これ、貸す! 天文部の部室の鍵!」
「天文部? 千恵美ちゃん天文部なの? 星に興味があったんだね」
「ない! 全然!」
「……」
「あたし、幽霊部員だもん。先生に頼まれて名前貸してるだけ。他の部員もほとんど幽霊だし、部室はいつも無人だから」
一年生の千恵美ちゃんが鍵を持ち歩いているくらいなら、たしかに活動も部室も休眠状態なんだろう。
それなら誰にも邪魔されずに、坂井君と話ができる。
あたしはありがたく鍵を受け取ってお礼を言った。
「ありがとう。後でちゃんと返すから」
「それより、後でちゃんと結果を教えてね! うまくいくように祈ってるからね!」
鍵を持ったあたしの手をギュッと両手で包み込み、「パワー!」と叫んで念を込めて、千恵美ちゃんはニコリと笑った。
そしてガッツポーズをキメながら、何度もこっちを振り返りつつ遠ざかっていく。
その姿を手を振りながら見送るあたしの胸は温かさと、申し訳なさでいっぱいになった。