ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

「それで、先生が勧めてくださった心療内科は受診したのよね?」

「いいえ、それはまだです」

「まだ? あらまあ、どうしてすぐ受診しないの?」

「母さんの言う通りだぞ? なんですぐ受診させなかったんだ?」

「それは、翠が嫌がっているようだったので、無理強いするのも可哀そうな気がして……」

「なに言ってるんだお前、可哀そうって問題じゃないだろう?」

 お父さんの声に強い苛立ちを感じて、あたしの胸がザラリとした冷たい予感に覆われた。

 これまで何度も感じた、あの暗黙の空気が痛々しく家中に張りつめ始めたのを感じて、あたしの全神経が一斉に緊張する。

 研ぎ澄まされた聴覚が、お母さんを取り囲んでいるだろうお父さんたちの声を一字一句漏らさず拾った。

「つまり、翠がストレスを感じてるってことなんだろう? それが原因で目の調子が悪くなったらどうするんだ」

「そうですよ。異変を感じたら、すぐにお医者様に診てもらうべきでしょう?」

「たとえ本人が嫌がっても、それをうまく説得するのが母親の務めだろう。まったく」

「す、すみません。私の落ち度です……」

「とにかく、ちゃんと心療内科を受診させなさい。孫がこれ以上つらい思いをするのは見ていられん」

「なにかあってからじゃ遅いんだ。早く病院に連れて行かなかったせいで翠の目がこんなことになってしまったことを、まさかお前忘れたわけじゃ……」

「お母さーん! 支度できたから学校まで送ってー!」