その思いの強さゆえに、あたしは夢を見続けているんじゃないだろうか?
だったら、その無念をあたしが解消すればいいんじゃないのかな?
あたしがお兄さんの代わりに、坂井君や親友さんに、言葉を伝えればいいんじゃないの?
そうすればお兄さんも成仏……というのとは少し違うのかもしれないけれど、少なくともあたしが夢を見ることはなくなるかもしれない。
なんの保証も確証もない考えだけれど、いまはとにかくそれしか思いつかないわけだから、やってみよう。
あたしはお兄さんの角膜を奪ってしまった罪と責任があるのだから、せめてそれくらいするのは当然だ。
唇をキュッと結んでいる自分の顔を鏡で見ながら、あたしは自分自身に向かって小さく頷いた。
そして通学用のリュックを背負い、しっかりと保護メガネをつけてから、部屋を出て階段を降りる。
リビングに向かって歩き始めた途端、部屋の方からお母さんの声が聞こえてきた。
「……って、先生にそんな質問してたのよ。翠が」
「ドナーの記憶が角膜に? そんなことあるわけがないだろう?」
「翠ちゃんたら、急にどうしたのかしらね? 大丈夫なの?」
あたしは思わず足を止めて、聞き耳を立てた。
どうやら昨日の診察室での件を、お母さんがお父さんたちに話しているようだった。
「もちろん翠だって、そんなことを本気で信じているわけじゃないとは思うけど、なんだか心配で」
「もしかしてドナーに対して、心の底で罪悪感を感じているんじゃないのか? 翠は優しい子だからな」
だったら、その無念をあたしが解消すればいいんじゃないのかな?
あたしがお兄さんの代わりに、坂井君や親友さんに、言葉を伝えればいいんじゃないの?
そうすればお兄さんも成仏……というのとは少し違うのかもしれないけれど、少なくともあたしが夢を見ることはなくなるかもしれない。
なんの保証も確証もない考えだけれど、いまはとにかくそれしか思いつかないわけだから、やってみよう。
あたしはお兄さんの角膜を奪ってしまった罪と責任があるのだから、せめてそれくらいするのは当然だ。
唇をキュッと結んでいる自分の顔を鏡で見ながら、あたしは自分自身に向かって小さく頷いた。
そして通学用のリュックを背負い、しっかりと保護メガネをつけてから、部屋を出て階段を降りる。
リビングに向かって歩き始めた途端、部屋の方からお母さんの声が聞こえてきた。
「……って、先生にそんな質問してたのよ。翠が」
「ドナーの記憶が角膜に? そんなことあるわけがないだろう?」
「翠ちゃんたら、急にどうしたのかしらね? 大丈夫なの?」
あたしは思わず足を止めて、聞き耳を立てた。
どうやら昨日の診察室での件を、お母さんがお父さんたちに話しているようだった。
「もちろん翠だって、そんなことを本気で信じているわけじゃないとは思うけど、なんだか心配で」
「もしかしてドナーに対して、心の底で罪悪感を感じているんじゃないのか? 翠は優しい子だからな」


