ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

 全然、まったく、指摘されるまでこれっぽちも気がつかなかった。

 でもこれ、ご飯もお味噌汁もあたしが自分でよそって用意したんだよね?

 あたしが毎朝トーストを食べるのは決まりごとで、たとえ寝惚けていたってこんなこと今まで一度もなかったのに、どうしたんだろう?

 そう疑問に思った瞬間、あることを思い出してハッと両目を見開いた。

 そう言えば以前に見た夢の中で、坂井君のお兄さんが食べていた朝ご飯は和食だった。

 お兄さんはお味噌汁の出汁をとった煮干しを、頭から食べるのが大好きな人で……。

「……」

 ザワザワする嫌な感じを胸に抱えながら、あたしはお味噌汁のお椀の中身を、そっと箸で掻き回してみた。

 底の方に、お豆腐とネギ以外の固い感触を感じて、恐る恐るそれを摘み上げて息をのむ。

 それは……煮干し、だった。

 いつの間にか、こんな物まで当たり前のようにお椀の中に入れていたなんて……。

「なんだ翠、煮干しも食べるのか?」
「あら、珍しいわね?」

 お父さんとお母さんが本当に珍しそうな顔をして、煮干しを摘んでいるあたしを見ている。

 それはそうだろう。だってあたしは、昔から尾頭付きの魚が大の苦手なんだから。

 頭がついたまま調理された状態が、いかにも『死骸』って感じで、しかも口をパカッと開いている様子が、まさに断末魔って感じで見るのも嫌だ。