ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

 そうなんだよ。彼はこの対戦ゲームが大好きなんだよなあ。

 それはいいんだけど、熱中するあまりに自分が負けるたびに拗ねちゃって、機嫌が直るまで時間がかかって大変なんだ。

 自分で誘っておいて、本当にめんどくさいんだから。

 ……ああ、ほらまた、負けたからって拗ね始めた。ゲーム機を放り出してゴロンと寝転がって、ブーブー文句を言っている。

 ねえ、そんな文句言われても、なに言ってるのか全然聞こえないんだよ。

 それよりも聞いてほしいんだ。さっきは伝えられなかったけれど、どうしても聞いてほしい言葉があるんだ。

 胸を掻き毟られるような焦燥感が、またあたしの心を駆り立てて、居ても立っても居られない。

 だってこの言葉を告げないうちは……あたしは、行けない。どうしても、どこにも行けないから。

 だから聞いて。ひょっとしたら聞きたくない言葉なのかもしれないけど、それでもお願いだから聞いて。

 あのね……。

『…………』