ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

 以前から遠藤さんは、なにかにつけてあたしに突っかかってくる。

 今回もたぶん、突っかかるためのいい材料ができたとばかりに、詰め寄ってきたんだろう。

 なにも言い返さずに黙り込むあたしの反応を味わっているような遠藤さんに、堪りかねた千恵美ちゃんが反論した。

「ねえ、それってさ、翠ちゃんがどうこうよりも、田中に文句言うべきなんじゃない?」

「なんで? 参加しないのは小田川さんなんだから、本人が責任もってあたしに伝えるべきでしょ?」

「知ってて伝えなかった田中にだって、責任あるじゃん。ていうか普通に考えて、翠ちゃんが球技大会なんかに参加できないのわかるでしょ? だからきっと田中だって、わざわざ言わなかったんじゃん」

「そんなの知らない。あたしは小田川さんじゃないもの」

 遠藤さんは冷たい口調でそう言って、イスに座っているあたしを見下ろした。

 正面で絡み合わないように微妙に視線を逸らしていても、彼女の目つきのキツさが伝わってくる。

「せめて、事情により不参加って記入して提出するくらいのこと、考えられなかった? 小田川さんって責任感ないんだね」

「なにそれ! プリント一枚にそこまで言うことないじゃん!」

 千恵美ちゃんの大声にクラスメイトたちが驚いて、一気にあたしたち三人に視線が集まった。

 それまで騒がしかった教室中が一瞬でシンと静まり返り、張りつめた寒々しい空気が漂い始める。