ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

「あ……な、なに? 遠藤さん」

「まだ希望種目のプリント提出してないの、小田川さんだけなんだけど」

 そう言って遠藤さんが突き出してきたのは、来月開かれる予定の球技大会の種目名が書かれているプリントだ。

 自分が参加したい種目に丸を付けて、期日までに班長に提出しなければならないことになっている。

 各班長からプリントを受け取った遠藤さんが、最終的に人数の調整をする係りになっていた。

「あたし、体育祭は参加できないから」

 そう言って首を横に振るあたしに、遠藤さんは素っ気ない口調で答えた。

「それならそうと、なんで言ってくれないの? 黙って放置されるとすごく困る」

 つっけんどんに言われたあたしも、困ってしまった。

 プリントが配られたとき、うちの班長の田中君に、あたしが参加できないことは伝えていたからだ。

 田中君は『うん、わかってる』って言ってくれて、だからあたしはそのままにしていたんだけれど。
 
「あ、ごめんね。班長の田中君には伝えたんだけど……」

「あたし、聞いてない。田中君に伝えても、あたしに伝えなきゃ意味ないでしょ? 総責任者はあたしなんだから」

 抑揚のない声でピシャリとそう言って、遠藤さんはあたしをじっと見つめている。

 その冷たい視線と沈黙に『あぁ、またか』と思いながら、あたしは軽く首を傾げて視線をそっと逸らした。