ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

 声をかけておきながら一向に話さないあたしを、彼は不審そうな目で見ている。

 そして『危ないやつとは関わりたくない』とでも思ったのか、あたしに背を向けてサッサと歩き出してしまった。

「ま、待って!」

「悪いけど急いでるから」

「あなた……あなた、誰なの!?」

 また立ち止まってパッとこちらを振り返った彼が、あたしをじっと見つめながら言い返してきた。

「お前こそ、誰?」

 そう問いかけられて、返事に詰まって視線を逸らしてしまう。

『一年一組の小田川翠です』って素直に答えればいいのかもしれないけど、それが正しい答えではない気がした。

 だって、そういうことじゃない。あたしが彼から聞きたいことだって、そんな自己紹介みたいなフレーズじゃなくて……。

「お前ひょっとして、一年一組の小田川翠?」

 唐突に名前を言い当てられて、逸らしていた視線をパッと戻してまた彼を見つめた。

 なんで彼があたしのことを知っているんだろうと疑問に思った瞬間、ひとつ仮定が閃く。……まさか……。