ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

「あ……あの……!」

 気がつけばあたしは、思わず彼に向かって声をかけていた。

 反射的に振り返りながら立ち止まった彼が、警戒心丸出しの目であたしを見返す。

「……なに? 俺になんか用?」

 そのぶっきらぼうな声を聞いて、ちょっと感動している自分に気がついた。

 だっていままでずっと夢の中では音が聞こえなくて、これが初めて聞く彼の声だったから。

「あ、あの、その、えぇと……」

 いや、感動している場合じゃなかった。

 うっかり呼び止めてしまったけれど、なにを話せばいいのかわからない。

『なぜあなたは、急にあたしの夢の中から飛び出てきたのですか?』

 なんて、非常識な質問をするわけにもいかないし。

 いまだにこの状況が夢か現実か半信半疑のあたしは、自分がいまなにをすればいいのか判断しかねて、モゴモゴ口籠っていた。