ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

 ホッと胸を撫で下ろしているうちに、学校に着いた車は正門を通り抜け、生徒玄関前に横付けて停止した。

 五時間目の授業が始まったばかりの玄関前には人っ子ひとりいないし、ガラス戸越しに見えるロッカースペースにも人影は見えない。

「じゃあ、今日もいつもの時間に迎えに来るから」

「うん。いつもありがとうお母さん」

「何度も言うけど、調子が悪くなったら遠慮しないですぐ先生に言うのよ? わかってるわね?」

 通学用のリュックを手に持って車から降りたあたしは、正門から出ていく車が見えなくなるまで、大袈裟にブンブン両腕を振りながらニコニコ笑顔で見送っていた。

 そして車が完全に見えなくなってから、パタンと両腕を下ろしてふぅっとため息を漏らす。

 ……移植手術が成功すればお母さんの気持ちも楽になると思っていたけど、逆に干渉ぶりがエスカレートしているのは気のせいじゃないと思う。

 でも夢中であたしの世話を焼いてるお母さんは、すごく忙しそうなわりに満足そうで、生き生きしているようにも見えた。

 それなら、このままの方がいいのかな?

 それでお母さんの気が晴れるなら、あたしはそれでいい。