ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

 あたしったら、お母さんの前でなにを言い出しているんだろう。

 先生の言う通りだ。角膜が人間の過去を記憶するはずがないし、ましてや夢を見させるなんてことが可能なはずもない。

 今日の検査でも異常はなかったし、きっとこれはただの気のせいなんだ。

 こんな些細なことで心配させちゃいけない。お母さんの心の傷が刺激されて、また自分を責め始めてしまうかもしれない。

 あたしは、運転しながら落ち着かない様子でこっちをチラチラ見ているお母さんに向かって、一生懸命明るい調子で笑いかけた。

「大丈夫だよ、お母さん。なんの問題もないから」

「本当なの? 本当の本当の本当に大丈夫なの?」

「イエッサ! 翠ちゃん絶好調っス!」

 ひたすらおどけて敬礼して元気に笑って見せたら、お母さんの不安そうな表情がようやく緩んだ。

 ……よかった。なんとかお母さんを刺激しないで済んだ。