そこまで考えて、あたしはクスッと笑ってしまった。

 なに真剣に考えているんだか。ただの夢なのに。

「なに? どうかしたの?」

「ううん、なんでもないよ」

 手術の後で変な夢を見た、なんて言ったらお母さんが心配するかもしれない。

 もう夢のことはどうでもいいや。それよりも休もう。なんだか少し疲れたし。

「あたし、ちょっと休んでもいい?」

「もちろんよ。痛みはどう? 眠れそう?」

「うん、昨日よりもずいぶん楽になった。これならすぐ眠れそう」

「お父さんこれから会社に行くけど、また来るからな」

「翠ちゃん、ゆっくりおやすみさないね」

「おやすみ、翠。お母さんここにいるからね」

 お母さんが笑っている。

 お父さんも、おじいちゃんも、おばあちゃんも、穏やかな笑顔であたしを見つめている。

 罪と引き換えに手に入れた物をしっかりと確認して、安心したあたしはそっと目を閉じた。