ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

 家族みんなが心から笑ってくれる日がくることを、祈り続けてきたんだよ。

 でもそうして必死になって家族を守ろうとしても、あの暗黙の空気は、いまだにあたしたちを支配し続けている。

 この角膜やあたしの努力をせせら笑うかのように、家族を呪い続けているんだ。

「あたしのせいでお母さんは傷ついた。あたしのせいで家族が壊れかけているの。だから角膜を受け取ったのに、あたしは無力だった」

「小田川……」

「こんな家庭の事情、とても話せなかった。坂井君の大切なお兄さんの、この世でたったひとつの角膜を受け取った人間が、こんなドロドロした事情を抱えて足掻いているなんて、知られたくなかった」

 きっと誰かが幸せになってくれるはずだと信じて、断腸の思いで提供した角膜なのに、こんなことなら提供を拒否すればよかった。

 そんな風にガッカリされてしまうことが、怖くて怖くてしかたなかった。

「ごめんなさい。お兄さんから角膜を奪って犠牲にしておきながら、ごめんなさい」