ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

「俺もそうだけど兄貴は俺に輪をかけて、ばあちゃんっ子だったからな。伝えたい思いは、そりゃあるだろうと思う」

「そっか。そうだよね。うちも同居だからわかるよ」

「小田川んちのじいちゃんばあちゃんて、まだ元気なのか?」

「元気。バリバリ現役」

「よかったな。家族は元気が一番だよ。それがなによりなんだ」

 ニコリと微笑む彼の表情の奥に、物寂しさが見え隠れしている。

 この三か月もの間、一緒に過ごしているうちに、あたしは彼の微妙な心理を表情から読み取れるようになっていた。

 坂井君、叶さんのことを考えているんだね。

 …………。

「じゃあ今度一緒に、ばあちゃんに会いに行こう。もうすっかりボケが進んでるから、会って話してもわかんねえかもしれないけどな」

「でも、あたしも行っていいのかな? 家族じゃないよ?」

「そんなガチガチな規則じゃないから大丈夫だよ。心配ない」

 坂井君はそう言ってくれたけれど、あたしの本当の不安は別の所にあった。

 坂井君のおばあちゃんと会う。つまりあたしは、ドナーの家族と面会することになる。

 ドナー家族とレシピエントは接触できないという決まりを破ることになるのはもちろん、ご家族に会うこと自体が、怖いんだ。