ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

 きっと誰にも知られないように夜中にパソコンを開いて、徹夜して白内障について調べ続けていたに違いない。

 そして調べている間中、泣いていたに違いない。

 だって何事もなかったようにあたしに向かって微笑むお母さんの両目は、痛々しく充血していたから。

「翠、今日も学校に送る時間はいつも通りでいいのよね?」

「うん、いつも通りだよ。……ねえお母さん」

「なあに?」

「いつも本当にありがとうね。大好きだよ」

 おどけた口調でそう言うあたしに、お母さんは赤い目を細めて嬉しそうに笑ってくれる。

「なんだ翠、今朝はずいぶん甘えん坊だな」

「翠ちゃん、おばあちゃんは? おばあちゃんのことは大好き?」

「おじいちゃんはどうだ? おじいちゃんのことも大好きか?」

「はいはいはーい。みんな大好きでーす。愛してるぜベイベー!」

 食卓が笑い声に包まれる。

 あたしは、これ以上は不可能なくらいの満面の笑みを浮かべながら、トーストを齧った。

 守らなきゃならない。あたしのせいでこの家族を壊してしまってはいけない。

 あたしはみんなの笑顔を守るために、なにがあっても笑い続けなければならないんだ……。