……伝わらないからこそ、お母さんは言い続けていたんだ。
母親に正面きって『ごめんなさい』なんて頭を下げられたら、あたしが辛い思いをするだけなのがわかっていたから。
『ごめんなさい』って言ったなら、『いいんだよ』って答えが返ってくるのが、わかっていたから。
『いいんだよ』なんて言われてしまったら……。
言われた方は、かえって苦しいだけだから……。
だからあたしが眠っている間に、お母さんはこうやって、自分を責め続けるしかなかったんだ。
「お母、さん……」
目の奥がジーンと熱くなって、お母さんの涙で湿った頬にあたしの涙が流れる。
ふたり一緒に笑っていた頃の、お母さんの楽しそうだった笑顔が浮かんで、でもそれはすぐに泣き顔に変わってしまった。
「お母さん……お母さん……」
もう、あの頃みたいに一緒に笑うことはできないんだろうか。
お母さんのあんな笑顔を見ることは、二度とできないんだろうか。
それは、誰のせい? 誰のせいでこうなったの……?
頬も、顎も、涙を拭く手の甲もびしょ濡れになるまで、あたしは誰にも気づかれないよう声を殺してボロボロ泣いていた……。
「翠、どう? 少しは見えているの?」
相変わらず怯えたような表情のお母さんに左目を覗きこまれて、昔の記憶を彷徨っていたあたしの思考が戻った。
「あー、うん。えーっと……」
とっさになんと答えればいいか困って、口籠ってしまう。
実は、見えないんだ。眼帯を取ってもらったときに少し驚いたんだけれど、左目の視界はほとんど白く霞んだまま。
と言うか、手術する前よりも霞は強いくらいだ。
でもそれを正直に言ってしまったら、お母さんがどう思うか……。
母親に正面きって『ごめんなさい』なんて頭を下げられたら、あたしが辛い思いをするだけなのがわかっていたから。
『ごめんなさい』って言ったなら、『いいんだよ』って答えが返ってくるのが、わかっていたから。
『いいんだよ』なんて言われてしまったら……。
言われた方は、かえって苦しいだけだから……。
だからあたしが眠っている間に、お母さんはこうやって、自分を責め続けるしかなかったんだ。
「お母、さん……」
目の奥がジーンと熱くなって、お母さんの涙で湿った頬にあたしの涙が流れる。
ふたり一緒に笑っていた頃の、お母さんの楽しそうだった笑顔が浮かんで、でもそれはすぐに泣き顔に変わってしまった。
「お母さん……お母さん……」
もう、あの頃みたいに一緒に笑うことはできないんだろうか。
お母さんのあんな笑顔を見ることは、二度とできないんだろうか。
それは、誰のせい? 誰のせいでこうなったの……?
頬も、顎も、涙を拭く手の甲もびしょ濡れになるまで、あたしは誰にも気づかれないよう声を殺してボロボロ泣いていた……。
「翠、どう? 少しは見えているの?」
相変わらず怯えたような表情のお母さんに左目を覗きこまれて、昔の記憶を彷徨っていたあたしの思考が戻った。
「あー、うん。えーっと……」
とっさになんと答えればいいか困って、口籠ってしまう。
実は、見えないんだ。眼帯を取ってもらったときに少し驚いたんだけれど、左目の視界はほとんど白く霞んだまま。
と言うか、手術する前よりも霞は強いくらいだ。
でもそれを正直に言ってしまったら、お母さんがどう思うか……。


