「兄貴を許してほしいとか、わだかまりを解いてほしいとか、そんなこと要求する気はないです。ただ、届けたいんです。三津谷さんに聞いてほしいだけなんです」
坂井君はそう言って、促すようにあたしを見た。
あたしは頷き、叶さんの角膜が移植された目で三津谷さんを見つめて、夢の中の言葉をゆっくりと告げる。
『なあ、お前いま、ちゃんと笑えているか?』
その言葉を聞いた途端、三津谷さんの肩が大きくビクリと動いた。
まるで亡くなった叶さんの姿が見えているように大きく両目を見開いて、あたしのことを凝視している。
三津谷さんは頬と唇を苦しそうに歪めて、声にならないなにかを堪えるような表情をしたまま、しばらく動かなかった。
「……」
あたしも坂井君も、ひどく動揺している三津谷さんにかける言葉も見つからず、その様子を固唾を飲んで見守るだけ。
やがて……穴が開くかと思うほどあたしを見つめ続けていた三津谷さんは、両手で顔を覆ってベンチにヘナヘナと座り込んでしまった。
そして肩を上下しながら、大きな溜め息を何度も何度も吐き出している。
吐き出された息の最後が微かに震えていて、もしかして三津谷さんは、覆った手のひらの奥で密かに泣いているのかもしれないと思った。
坂井君はそう言って、促すようにあたしを見た。
あたしは頷き、叶さんの角膜が移植された目で三津谷さんを見つめて、夢の中の言葉をゆっくりと告げる。
『なあ、お前いま、ちゃんと笑えているか?』
その言葉を聞いた途端、三津谷さんの肩が大きくビクリと動いた。
まるで亡くなった叶さんの姿が見えているように大きく両目を見開いて、あたしのことを凝視している。
三津谷さんは頬と唇を苦しそうに歪めて、声にならないなにかを堪えるような表情をしたまま、しばらく動かなかった。
「……」
あたしも坂井君も、ひどく動揺している三津谷さんにかける言葉も見つからず、その様子を固唾を飲んで見守るだけ。
やがて……穴が開くかと思うほどあたしを見つめ続けていた三津谷さんは、両手で顔を覆ってベンチにヘナヘナと座り込んでしまった。
そして肩を上下しながら、大きな溜め息を何度も何度も吐き出している。
吐き出された息の最後が微かに震えていて、もしかして三津谷さんは、覆った手のひらの奥で密かに泣いているのかもしれないと思った。


