ごめんね、キミが好きです。~あと0.5ミリ、届かない想い~

「君は、望君の彼女?」

 三津谷さんがあたしに向かって、愛想笑いを浮かべながらそんなことを聞いてきた。

『彼女』なんて、これまでの人生で一度も縁のなかった強烈な単語に一瞬、胸が小さくドキンとする。

 とっさに返事ができないでいるあたしの代わりに、坂井君が即答した。

「いえ、違いますから」

 ……。

 正しい回答なのに、ちょっと傷つくのはなぜだろう……?

「高校生はいいなあ、リア充か。俺はバイトで忙しくて、恋愛はとんとご無沙汰だよ」

 会話のきっかけを掴めて気が楽になったのか、三津谷さんは愛想笑いとは違う自然な笑みを浮かべた。

「それで、俺に大事な話って、なに?」

 軽く首を傾げてこっちを見る仕草や、問いかける視線の自然な柔らかさから、穏やかな雰囲気が漂ってくる。

 こんなに目立つ保護メガネをつけているあたしを、ジロジロと無遠慮に眺めるような態度もみせない。

 きっと相手に対して細やかな気づかいができる、優しい人なんだろう。

 こんな優しそうな人が、なんで坂井君のお兄さんと、あんな大喧嘩をしてしまったんだろうか?

 しかも二度と修復できなかったほどの、深い諍いを起こしたなんて。